筋肉痛は、フルマラソンはもちろん、短い距離のランニングでも十分起こります。
とくにマラソン初心者のころは、太ももやふくらはぎに激しい筋肉痛を感じる人は多く、このページをご覧の人も同じ経験があるのではないでしょうか?
筋肉痛の回復方法にかんしては、さまざまな情報が飛び交っていますが、ただしい回復方法を実践できていない人が多い印象です。これは、マラソン初心者だけではなく上級者ランナーも例外ではありません。
本ページでは、整骨院・フィットネス施設でこれまで多くのマラソンランナーの筋肉痛にたずさわってきた整骨院院長監修のもと「マラソン後の筋肉痛を回復させるただしい対処方法」をわかりやすくお伝えさせていただきます。
ゆらぎ整骨院 院長 中村
医療機関運営のメディカルフィットネス施設 代表トレーナー
フルマラソン自己ベスト3時間1分
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マラソンで筋肉痛になる原因
筋肉は、筋繊維と呼ばれる細い繊維の束からできています。筋肉痛は、この筋繊維が切れて炎症が起きている状態です。
では、なぜマラソンで筋肉痛になるのでしょうか?
おもに、以下の5つが原因として考えられます。
- 走りすぎ(オーバーユース)
- ランニングフォームが悪い
- 筋肉が硬い
- ランニングシューズが合っていない
- 硬い地面の上をランニングしている
ひとつずつ解説をくわえていきますので、ご自身の現状と照らし合わせながらご覧ください。
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走りすぎ(オーバーユース)
いつもより長い距離のランニングや、速いペースでのランニングをすると、筋肉に大きな負担が掛かり筋肉痛になります。
とくにマラソンは、太ももやふくらはぎの筋肉をくり返し使うため、この部分での筋肉痛が多いことが特徴です。
トレーニングを重ねると、長い距離や速いペースでのランニングをしても筋肉が強くなっているため筋肉痛を感じづらくなりますが、さらに長い距離や速いペースのランニングを行えば筋肉痛になります。
ランニングフォームが悪い
ランニングフォームが悪いと、不自然な関節運動により筋肉に大きな負担をかけてしまい筋肉痛になります。
とくにマラソンは、同じ動作を何万回もくり返す競技のため、フォームが悪いと筋肉痛にとどまらず、ランナー膝(腸脛靭帯炎)や肉離れなど故障のリスクをともなうため早期の改善が必要です。
筋肉が硬い
筋肉が硬くなると、マラソンによるくり返しの動作に筋肉が耐え切れなくなり筋肉痛になります。
また、筋肉が硬いと血流が滞りやすくなり、筋肉痛の回復が遅くなるリスクをともなうため改善が必要です。
筋肉が硬くなる原因としてストレッチ不足をイメージする人は多いかもしれませんが、睡眠不足や生活リズムの乱れ、さらには脚を組むなどの不良姿勢なども原因として十分に考えられます。
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ランニングシューズが合っていない
足のサイズ・足幅・インソールの形・クッション性が自身に合っていないランニングシューズは、筋肉に負担がかかり筋肉痛の原因になります。
マラソン初心者でありがちなケースが、高速ランナー向けのクッション性が低い最軽量のランニングシューズを買ってしまうこと。
高価なランニングシューズのほうが良いだろうと購入してしまい、身の丈に合わないシューズを使用することで筋肉痛になる人は少なくありません。
硬い地面のうえをランニングしている
硬い地面を走り、自身の足にかえってくる衝撃が強すぎると筋肉に負担をかけ筋肉痛になります。
代表的なところでいえばアスファルト(道路)です。
また、フィットネスジムなどにあるトレッドミル(ルームランナー)も機械によっては地面が硬いものがあります。
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筋肉痛があるときはランニングを休むべき?
結論から申し上げます。
「筋肉痛の程度にもよりますが、基本は休むべきです」
どうしてもランニングをしないと落ち着かないときは、ゆっくりのペースで軽いジョグ程度にしておきましょう。
ただし、痛みを我慢しながらジョグを行うことは、筋肉痛の回復にとって得策ではありません。
マラソン後の筋肉痛を早期に回復させる方法
「筋肉痛を早く回復させてマラソンをしたい!」
このようにお考えの人はまず、ただしい筋肉痛の回復方法を知ることが大切です。
以下では、整骨院やフィットネスジムで15年以上、マラソンランナーたちの施術にたずさわってきた経験から「筋肉痛を早期に回復させるただしい方法」をくわしくお伝えさせていただきます。ぜひ、今日から実践してみてください。
アイシング
筋肉痛は、筋肉の炎症によるものです。
そのため、まずはアイシングをして炎症を抑えていきます。
アイシングの手順は以下のとおりです。
- 氷のう袋、または厚めのビニール袋に氷を入れます。
- 氷同士がくっ付かないように少量の水を入れます。
- 筋肉痛のある部位へあてます。
- 20~30分アイシングを行います。
- 2~3時間おきに①~④を行います。
アイシングを行うときの注意点は、できるかぎり氷水で行うことです。
保冷剤のようなものは温度がマイナスになり凍傷のリスクがあるためおすすめできません。
万が一保冷剤のようなもので冷やす場合は薄手のタオルにくるんだ状態でアイシングを行うようにしてください。
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栄養補給
筋肉痛によって切れた筋繊維を回復させるためには栄養が必要不可欠です。
とくに、以下の栄養はすすんで摂取するよう心がけてください。
- たんぱく質
- ビタミンB群
- 糖質
- 水分
まず、筋肉の材料となるたんぱく質は欠かせません。鶏肉や牛肉の赤身の部分などに多く含まれていますが、足りなければプロテイン補給がおすすめです。
糖質は体のエネルギーとなり、ビタミンB群を摂取することでエネルギー代謝を促進してくれる効果が期待できます。
また、意外と軽視されがちな水分の摂取も筋肉痛の回復には必要です。マラソンをしないときでも、1日最低2リットル以上の水分を摂取するように心がけておきましょう。
ストレッチ&セルフマッサージ
軽い筋肉痛の場合は、ストレッチやセルフマッサージが早期回復に効果的です。
ただし、どちらもやりすぎには注意をしてください。
ストレッチは、筋肉痛がある部位を伸ばしすぎないように、伸ばす部位と反対側の筋肉を少し収縮させた状態でストレッチを行います。
たとえば、太ももの裏(ハムストリングス)のストレッチを行うときは、太ももの前(大腿四頭筋)に軽く力を入れて収縮させた状態でハムストリングスを伸ばしますと伸ばし過ぎを防ぐことができます。
セルフマッサージは、筋肉痛がある部位を強く押さえるのではなく、軽く揺らしてあげるようにケアをすると効果的です。
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睡眠
傷ついた筋繊維の回復は寝ているときに行われます。
そのため、筋肉痛を早期に回復させるには十分な睡眠をとらなければなりません。
睡眠で大切なポイントは、時間より質です。
以下の点に気をつけると質の高い睡眠がとれるようになります。
- お風呂は就寝の2~3時間前に済ませておく
- 就寝直前にお風呂に入るときはシャワーで済ませる
- 眠たくなってからベッドに入るようにする
- 朝は必ず朝日を浴びる
- 平日と休日の起床時間に差をつくらない
質の高い睡眠は筋肉痛だけでなく、トレーニング後の超回復を促してくれるなどさまざまメリットがあるため、ぜひ実践してみてください。
マラソン後に筋肉痛にならないようにする方法
残念ながら筋肉痛を完全に防ぐことはできません。
ただし、筋肉痛になる原因を対策してリスクを減らすことは十分に可能です。
おもな対策として以下の5つをご紹介します。
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ランニングフォームの改善
マラソンによる筋肉痛は太ももやふくらはぎが多いため、下半身のランニングフォームの改善に目を向けやすいですが、実は上半身が大切です。
とくに、以下の3つを意識してランニングを行うようにしましょう。
- 背筋をまっすぐ伸ばす
- 腰の位置が落ちないよう高く保つ
- 肩の力を抜いて軽く腕を振る
また、下半身で大切なことは自分に合った走法をえらぶことです。
たとえば、大幅に足を運ぶ「ストライド走法」や、小刻みに足を運ぶ「ピッチ走法」がありますが、マラソン初心者や筋肉量が少ない女性には「ピッチ走法」をおすすめします。
前後にストレッチをする
おそらく多くの人が実践済みのストレッチですが、大事なのは内容です。
ストレッチは大きく分けて「スタティック(静的)ストレッチ」「ダイナミック(動的)ストレッチ」があり、ランニングの前後によっておすすめのストレッチは違います。
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ランニング前のストレッチ
ランニング前に行うストレッチは「ダイナミックストレッチ」がおすすめです。
ダイナミックストレッチとは、体を動かしながら関節可動域を広げたり、心拍数を上げたりするストレッチのことで運動前に多く用いられます。ストレッチをしても筋肉痛や故障が多い人は、ランニング前に「スタティックストレッチ」を入念に行っているケースが考えられます。
もし、心あたりのある人は、ランニング前のストレッチを「ダイナミックストレッチ」に変えるだけでも筋肉痛や故障のリスクを軽減できるかもしれません。
ダイナミックストレッチといわれても具体的に何をすれば良いのかわからない人は究極のダイナミックストレッチである「ラジオ体操」がおすすめです。
ランニング後のストレッチ
ランニング後に行うストレッチは「スタティックストレッチ」がおすすめです。
スタティックストレッチとは、体の動きが少なく特定の部位をゆっくりと伸ばすストレッチのことで、心拍数を下げてクールダウンの役割をはたしてくれるため運動後に多く用いられます。
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ランニングコースの見直し
アスファルトのうえばかりをランニングしている人は、グラウンドや芝のうえなどの地面が柔らかい周回コースを増やすだけでも筋肉痛のリスクが軽減されます。
ただし、周回コースは景色が変わらずランニングがしづらいと感じる人は、毎回でなく週に1~2回取り入れるなどの対策をおすすめします。
また、トレッドミル(ルームランナー)でのランニングは、年式の古い機械によっては下が硬いものがあるため、クッション性の高いランニングシューズを履くなどの対策が必要です。
シューズ&インソールの見直し
マラソン初心者の場合、筋肉痛や故障のリスクを軽減させるにはクッション性の高いランニングシューズがおすすめです。クッション性の高いランニングシューズは少し重さを感じるものが多いですが、サブ3・サブ3.5クラスを狙うランナーでないかぎりは重さよりもクッション性を重視するほうが良いでしょう。
インソールも自分の足にあったものを選ぶことが大切です。
近年では、足の裏を計測してオーダーメイドのインソールを作ってくれるサービスがスポーツショップなどで行われています。
インソールだけでおよそ1~2万円と価格は高いですが、自分に合ったインソールがわからない人にはおすすめです。
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ランニングを習慣化する
一番の対策はやはりランニングを習慣化することです。
筋肉痛は自身のキャパ以上の運動強度を感じたときに起こります。
つまり、日頃からランニングをしている人は少々のランニングでは筋肉痛になりません。
また、ランニングだけでなくさまざまスポーツを行い、まんべんなく筋肉や関節を使ってあげることも筋肉痛になりづらい体づくりにはおすすめです。
1週間以上続く筋肉痛は医療機関へ
1週間以上続く筋肉痛の場合は、なにか他の病気がかくれている可能性も否定できません。
そのため、くわしい検査を医療機関で受けることをおすすめします。
なかには、接骨院・鍼灸院・整体院へ行かれる人も多いですが、長引く筋肉痛の場合は、レントゲン検査やMRI検査などのくわしい画像検査や、医師による診断が行える病院・クリニックへの受診がベストです。
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まとめ
原因を対策することでマラソン後の筋肉痛になるリスクを軽減できます。
まずは、自身が見直せることからはじめてみましょう。
また、筋肉痛になったときはできるかぎりランニングはお休みして、アイシング・栄養補給・睡眠で早期回復に努めることが大切です。
これからさき、快適なマラソンライフを継続させるためにも体のケアは入念に行うことをおすすめします。
当サイトでもさまざまお役立ち情報を発信していきますので、よろしければ参考になさってください!
あなたのマラソンライフが楽しいものになりますように応援しています!