「カフェインを摂取するとマラソンのパフォーマンスが向上する」
もし、このことが事実であれば、積極的にカフェインを摂取したいと思いませんか?
カフェインについては、スポーツの分野だけでなく健康面からもさまざまな研究が行われています。
「カフェインは健康に良い」「カフェインは健康に悪い」など、両方の声を耳にする不思議な存在のカフェイン。
本ページでは、そんなカフェインとマラソンについての意外な関係について、フルマラソン経験者で、整骨院の院長でもある「中村」がわかりすく解説させていただきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
ゆらぎ整骨院 院長 中村
医療機関運営のメディカルフィットネス施設 代表トレーナー
フルマラソン自己ベスト3時間1分
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マラソンとカフェインの関係とは?
実は、カフェインの摂取はもともとドーピング対象でした。
ドーピング対象になるということは、マラソンをはじめとしたスポーツのパフォーマンスを向上させる効果がカフェインにはあると認識をすることができます。
しかし、現在はカフェインの摂取はドーピング対象とはされていません。
ドーピング対象から外れるということは、カフェインにはマラソンをはじめとしたスポーツのパフォーマンスを向上させる効果はないと認識できませんか?
では、実際のところカフェインにはマラソンのパフォーマンス向上させる効果はあるのでしょうか?
カフェインがマラソンに与えるプラスの効果&メリット
カフェインとスポーツ(マラソン含む)の研究発表はいくつか存在しますが、大きくまとめると、カフェインがマラソンに与える効果&メリットは以下のとおりです。
- 長距離を走れるようになる
- 速く走れるようになる
- 痛みの軽減
では、ひとつずつ解説をしていきます。
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長距離を走れるようになる
カフェインには脂肪酸の利用を促す効果が期待できます。
脂肪酸は、マラソンなどの長距離を走るさいに利用される重要なエネルギー源です。
脂肪酸の利用効率が悪いと、優先的に糖質(グリコーゲン)が利用されてしまい、体力の消耗が速くなってしまいます。
一方、カフェイン摂取で脂肪酸の利用効率が高まると、多くの脂肪酸を利用して糖質(グリコーゲン)の利用を抑えることができるため、長距離走っても疲れにくいという効果が期待できます。
速く走れるようになる
カフェインは、中枢神経を刺激させる効果が期待できます。
中枢神経が刺激されると、人間の体は戦う体に。集中力が向上し、体内のパワーがみなぎり覚醒状態になるのです。
マラソンをはじめとしたスポーツにおいては、パフォーマンスの向上、とくに瞬発的な力を出す効果が期待できるため、マラソンにおいては速く走ることができます。
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痛みの軽減
カフェインには、痛みの軽減効果があると言われています。
この理由も先述した「速く走れるようになる」の内容と同じく中枢神経の刺激に関係しているのです。
スポーツをしているときに集中し過ぎて、痛みやケガに気付かなかったことはありませんか?
この理由は、体が戦う体になって興奮状態になり、一時的に痛みの感覚を麻痺させているからです。
カフェインを摂取すると、この興奮状態がより強いものになると言われています。
つまり、理論上は痛みの軽減に効果的であることがわかりますが、あくまでも一時的な痛みやケガの軽減。
そのため、痛みやケガが快方に向かっているわけでないことは十分に認識しておく必要があります。
カフェインがマラソンに与えるマイナスの効果&デメリット
残念ながらカフェインにはプラスの効果だけが存在するわけではありません。
カフェインを摂取することで、マラソンではどのようなマイナスの効果があるのか?カフェインのデメリットを理解しておきましょう。
- 睡眠不足や生活サイクルの乱れにつながる
- 脱水が起きることがある
- 依存性がある
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睡眠不足や生活サイクルの乱れにつながる
カフェインには覚醒作用があるため、夜にカフェインが多く含まれたコーヒーなどを摂取すると寝つきが悪くなることは広く認知されています。
マラソンをはじめとしたスポーツ選手にとって、質の高い睡眠がとれないことは、リカバリー(疲労回復)やパフォーマンスの低下にもつながりかねないため、摂取のタイミングには十分に注意する必要があります。
尿意&脱水が起きることがある
カフェインを多く含む飲料には利尿作用があります。
そのため、過剰にカフェインを摂取すると、マラソンのレース中に激しい尿意に襲われてしまうことがあるため注意が必要です。
また、利尿作用があるカフェインを過剰に摂取すると脱水が起きることも。マラソンのレースにおいて脱水は命取り。そのため、レース前のカフェイン摂取には十分な注意をする必要があります。
依存性がある
カフェインには一定の中毒性のようなものがあります。
たとえば、毎日コーヒーを飲まなければ気が済まない人は少なからずカフェインに依存している傾向です。
カフェインは、適量を摂取すれば大きな健康被害はないと言われていますが、過剰摂取では健康被害があるとも言われています。
マラソンのパフォーマンスを向上させるために摂取をはじめたカフェインで、過剰摂取によりかえってパフォーマンスを低下させる事態は本末転倒になりかねないため、十分な注意が必要です。
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マラソンにおけるカフェイン摂取のタイミングと量
カフェインの摂取は、マラソンのレースおよそ1時間前を目安に「体重×3㎎」の摂取が推奨されています。
つまり、体重50㎏のマラソンランナーの場合はおよそ150㎎のカフェイン摂取が必要です。
実際、コーヒー1杯(100ml)に含まれるカフェインはおよそ50~60㎎。
マラソンのレース1時間前にコーヒーを3杯飲むことは現実的ではないため、サプリメントなどの併用をおすすめします。
カフェイン抜きのタイミング
摂取することでマラソンのパフォーマンス向上が期待できると言われているカフェイン。
一方で、レース中のトレイ問題が気になるランナーのなかには、あえて大会前のカフェインを抜く人もいます。
カフェイン抜きのタイミング
マラソンのレース前にカフェインを抜く場合は、5~6時間持続するカフェインの効果を考えると、レース前日の夕食ごろから抜いておくのが無難です。
レース途中でカフェインを摂取する場合
ランナーのなかには、終始カフェインを摂取しない人もいれば、トイレ問題&脱水問題が解決されつつある、レースの後半からカフェインを摂取するランナーもいます。
先述したように、カフェインには「戦う体」にしてくれる効果が期待できるため、レースの後半ごろにカフェインを摂取して終盤の追い込みをかける方法もおすすめです。
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カフェインがドーピング対象から外れた理由
カフェインがマラソンにおいて一定のパフォーマンス向上を促す可能性がある説明を先述させていただきました。
ゆえに、カフェインはオリンピック競技においてのドーピング対象として近年まで扱われてきたのです。
しかし、その流れが変わったのは2004年。国際オリンピック委員会(IOC)と世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は、カフェインをドーピングリストから除外したのです。
では、なぜカフェインはドーピングリストから除外されたのでしょうか?
その理由として考えられているものが以下のとおりです。
- 健康被害が少ない
- 摂取制限が困難
- 一時的な効果&エビデンスの不足
健康被害が少ない
ドーピング対象になるものの多くは、定期的な摂取によって健康被害のリスクが高いものが多くリストに入っています。
一時的なパフォーマンスの向上のために、自身の体をむしばんでゆく本末転倒な事態は決して許されるものではありません。
しかし、カフェインにおいては大量摂取には注意が必要なものの、日常的な摂取にかんしては大きな健康被害の報告も少ないと判断されたことが理由のひとつだと考えられます。
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摂取制限が困難
カフェインは人々の生活に浸透しきっています。
たとえば、カフェインが含まれる飲み物は、コーヒー・お茶・エネルギードリンク・一部の炭酸飲料など。食べ物は、カカオが含まれるもの(チョコレートなど)・アイスクリームなど。
とくに、飲料にかんしては多くのものにカフェインが含まれているため、これらの飲み物に制限を掛けることは困難だということも理由のひとつだと考えられています。
一時的な効果&エビデンスの不足
カフェインの効果は持続時間が短く一時的だという専門家の声があれば、長時間の効果が期待できるという専門家の声もあります。
このように、専門家のなかでもカフェインの効果にかんしてはさまざまな意見が飛び交っていることが事実です。
つまり、カフェインの効果が確定的ではない状況、個人差がある状況を考慮されたことも、ドーピング対象リストから外れた理由のひとつのようです。
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まとめ
マラソンとカフェインの関係についてお伝えさせていただきました。
たしかにカフェインにはマラソンのパフォーマンスを向上させる一定の効果が期待できます。
ただし、カフェインを摂取することで、トイレ問題などのデメリットがあることも事実です。
まずは、自分にとってカフェイン摂取がプラスに働くのか?マイナスに働くのか?
レース本番で失敗しないように、トレーニングの段階から試してみることをおすすめします。
あなたのマラソンライフが楽しいものになりますように応援しています!